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2006-02-14

第18回「高架下」

017 ゴォーー、と鈍い音がコンクリート伝いに身体に響いてくる。次にキシンキシン、と甲高い金切り音が耳に入ってきて、地鳴りを思わせる重低音と共に鉄の塊が鉄の道を滑り過ぎてゆく。高架下を仕事場や住居とされている方々は、上り列車、下り列車を含めるといったい一日に何回この音を聞くのだろうか。路線にもよるだろうが、単純計算でも東京近郊ならば500以上はかたいだろう。こうなってくると、これはもはや騒音ではなく‘暮らしのBGM’的存在になっているのでは、などと僕は考えてしまう。実際問題、そんないいものではない!と言われることは目に見えているのだが、例えばひとつ。客として飲み屋を訪ねた時、あの音はある種、時計代わりの様な効果があり、それは決してうるさいとか、不快に値するものではない。むしろそこでは確かな時刻より、感覚的に時間が流れてるなぁ、という実感の方が大切であって、その実感にあの音は非常に貢献している。そしてもうひとつ。やはりこのロケーションは街並のアクセントとして絶対存在していてもらいたい風景の代表格だ。様式こそ古いものが多いが、鉄道と盛り場の共存している風景はいつのものであれ、都会的である。しかし近年ではそんな風景も意識しなければ、人々の目は向かない。「ひるずひるず」と賑やかにうたうのもけっこうだが、丘にのぼった時には、そこから谷に残る、灯りを見つけるのも、また悪くないですよ。

 
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