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2006-06-14
第21回「雨の物語」
本州も本格的に梅雨入りをし、手荷物に傘が加わり大掛かりで困っている(僕は鞄はおろか、荷物は財布と携帯さえあれば良しとするたちなので…)。雨というものは農業やダムなど、職業的な需要を除けば、たいていの場合で嫌われ者扱いされる傾向がある。週末に雨予報を食らった日の事を思い起こせば、誰もが経験のある思いだろう。傘をさしたままだと人混みを歩くのにもストレスを感じる上、洋服にも気遣いが必要になる。しかし不思議なもので、これが歌や映画の世界ともなると立場は一転し、ロマンスを語る上で欠かせない小道具として、居場所を確保しているのだ。人は本当は雨が好きなのだろうか。濡れる事を回避する為に一生懸命な現実世界とは裏腹に、架空の世界ではあえて傘をささずに佇むなどといった描写を多く見かける。この矛盾は一体何か。およそ、雨=悲壮感といった具合に哀しみの代名詞的役割を雨に任せているのだろうが、どうも現実世界では単なる‘欝陶しいもの’で終わってしまう。梅雨本番のこの季節、いっそ雨の物語のひとつでも書いてみようか。