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2007-05-09
第26回「夕焼け」
夕焼けを見ると落ち着く。近頃の季節感のない雨続きに気分はもやもやと燻っていた。誰が示したわけでもないが夕焼けにはどこか懐かしさの象徴のようなところがある。これは心が一呼吸置く時、過去を振り返る癖を持つ人間の性分のせいだろうか。
では何故過去が夕焼けなのか、、、
幼い頃を思い出してみる。子供の目線の行きどころというのは概ね極端なもので、一つは動くもの。そしてもう一つが‘大きなもの’だ。単純な解釈でもって目にしたとしても確実なセンセーションを感じるのが巨大物。子供にとってそれが魅力なのだろう。しかし大人になったからといって、急にその感覚を失うというわけではない。要は気持ちの問題で、‘感心する’という動作を知らず知らずの内に省略して生きるように変化しているのだ。個人差はあるだろうがこの傾向は絶対である。絶対だからこそ忘れてしまっては勿体ない。
時には‘意識して感心してみる’という行為が人生を楽しいものにしてくれる。
…と僕は信じたい。