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2006-05-02
第20回「空の使い方」
面白い風景があった。
何がかというと、写真右上に小さく浮かんでいるもの、飛行船である。飛行船とはガスとプロペラを動力とした、いわば気球のバージョンアップ版のような乗り物…というのが僕の解釈であり知識の限界であるが、この乗り物、妙に過去の匂いを感じる。ヘリコプターやジャンボジェット機、はたまた宇宙にまで飛び出せるロケットまでもが大空を支配している今、飛行船の様にプカプカと漂いながらのんびりと飛行する姿は、明らかに‘時代おくれ’である。誤解があるといけないので訂正を加えると、ここでの‘時代おくれ’とは河島英五氏のヒット曲、「時代おくれ」的な意味の引用として解釈頂きたい。かつては交通手段の一つとして活躍していた飛行船も今残る殆どの機体が、‘広告手段’と姿を変え、その活躍の場を移している。広告といえば、同じ空を彩った仲間として、アドバルーンを思い出す。…とはいってみたがこの記憶、実に微妙なところで、僕自身が実際、アドバルーンの目撃者なのかどうか曖昧なのである。存在、役割、形状と全て理解はしているのだが、この情報が実物から得たものなのか、何やら過去の資料から得たものなのかは未だ不明なのである。話を戻すと、アドバルーンが姿を消した理由は何か。様々だろうが、都市の高層化による、視界の悪化はその一つであろう。昔、空は広かった。空に人はいない。誰のものでもない。だから人々はそこを広告の場所に選んだ。地上で働き、作り上げた商品を空を使って宣伝した。しかし、今人間は空を職場とし、住居とした。高層オフィス、高層マンション…いつ頃からなのだろうか。人が見上げることを忘れ、見下ろす快感を求めるようになっていったのは。「上を向いて歩こう」。今、この曲の続編書くとしたら、タイトルに迷ってしまう。