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2005-08-31

第12回「星」

012 近頃と言おうか、東京という場所でと言おうか、とにかく最近星を見ていない。見る機会もなければ、ギラギラの街灯りのせいもあるのだろうが、そもそも人が星を見上げるシチュエーションとは一体どんな時なのであろうか…少なくとも何かに没頭している時や、忙しさに駆られている時では、人は空などを見上げる暇と意識は持ち合わさないだろう。当たり前に存在し、まして希少価値などは感じるわけもない‘空’をあらためて見上げるという行為は、実はとても贅沢で、心と気持ちに遊びがある瞬間にのみ生まれる動作なのではないかと思う。東京で星を見ない人間は沢山いるはずだ。それはこの偉大な大都会を構築し、保ち続けるための人の姿の表れであろう。その証か、空に星は浮かばなくとも、ひとたび高いビルに登り、下を見下ろせば、そこにも天の川は流れているようだ。

 
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