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2005-06-18
第10回「ロケ中、新宿ゴールデン街にて」
明け方のゴールデン街というものは、時にまるで閉園した遊園地のような、
もの悲しさと静けさに包まれる瞬間がある。
それは同じ繁華街でも六本木や渋谷では感じることができない。
昼間眠る街なのである。
近年、都市部では昼と夜の境目がうすれているように思う。
人は入れ代わり立ち代わり24時間街に溢れ、ビルの明かりが緩むこともなく、
そのまま朝に向かうのである。これが現在の東京のビジネス上のシステムなのだろう。
悪いことではない。しかし、24時間機能し続けるだけが果たして
‘街’の理想型なのだろうか。街は自分達が住んでいる以上、
共存すべきであろう、というのが僕の意見だが、現在見られるのは共存ではなく
‘利用’である。ゴールデン街に‘利用客’はいない。
訪れる者は皆、この街と生きている。 街と呼吸をしている。この猫のように。