僕は歌謡曲好きではありますがいわゆる‘レコードコレクター’という意識はなく、単にCD化されていないものはアナログ盤で聴くしかないという感覚のみでレコードを購入しています。
よって希少価値が上乗せされた高価格な商品には抵抗があり¥2000を越えるともうそれだけで逆に‘買う価値’を見失ってしまうんですね。¥2000という単位はCDの価格を目安とした際に「古いモノなんだからCDより三割は安くて当然だろ」という持論から来るものですが、プライス第一主義な自分にやはり関西のDNAを感じざるをえません。
さてそんな僕が先日なんと¥5000!もの大金を支払って購入したものが、ベーシスト江藤勲さんのリーダーアルバム「BassBassBass」。
内容は発売当時のヒット曲のインスト物でベースとしてのパートのみならず歌メロをベースで弾くようなリード楽器としてのアプローチも垣間見れる秀作。そしてこのレコードの有り難いところは通常のミキシングバランスよりベースパートのボリュームが持ち上げられているところで、これにより従来の歌謡曲では聴き取り辛かった微妙な音質がチェック出来たところです。
江藤さんといえば前回述べた寺川正興さんと音質的にもプレイスタイル的にも酷似した印象があったのですがこのアルバムを聴いてやっとそのグレーゾーン(どのグレーゾーンや?という方が九割八分ということは承知です)がはっきりしました!
具体的に言えば江藤さんの方がタイム感がカッチリしていて優等生なプレイ。
対して寺川さんは前ノリでグルービーな暴れん坊タイプなんですよね。使用楽器も江藤さんが1ピックアップのプレベタイプ(確かELK)に対して寺川さんは2ピックアップのジャズベタイプ(写真ではレスポールベースの時代も)のもののはず。
ミュージシャンからするとこのように外野から誰かと勝手に比較されることはあまり気分がいいことではないでしょう。
しかしある種の天下を捕った者同士にはなにかしらの共通点があるように僕は思います。
この二方を例にとって言えば共にスタジオ界のファーストコールプレイヤーであるということ。
これは時代が2人の音を必要としたといことなのでしょうか。
結果60年代後半~70年代前半で聴かれる主な歌謡曲のベーススタイルのイメージは自ずと彼ら残していったプレイスタイルに板付いていったといっても過言ではないはずです。しかしこのような事実に一目を置くような人は今や僕のような一部のコアなファンか、実際に当時現場を践んできた来たミュージシャンたちだけに限られてしまっている今を少し勿体なく感じます。
平成生まれのベーシストたちよ!歌謡曲は‘技’の巣窟だ!巨匠には巨匠の理由がある!