自称尾崎紀世彦マニアの僕からしてみれば今更『また逢う日まで』を事深く解析するまでもないでしょう。文句なしの名曲なんですから。そこで今回は『また逢う日まで』を拝借しまして僕の憧れのプレイヤーについてヒトコト。
僕の歌謡曲界三大アイドルはボーカル部門尾崎紀世彦氏、コンポーザー部門都倉俊一氏(作曲家)、プレイヤー部門寺川正興氏(ベーシスト)と言える。
寺川正興氏とはジャズ出身のミュージシャンでありながら昭和40年代の歌謡曲のレコーディングにおいても欠かすことのできなかったスーパーベーシストだ。この『また逢う日まで』のベースも寺川氏によるものだが、いわゆる‘寺川節’を堪能するにはいまひとつ物足りなさを感じてしまう。
そもそも寺川節とは何なのかを説明すると、激しくスケールを上下し、時折半音移動のグリスを混ぜながらグルーヴィーにうねりまくるランニングベースだ。同時期肩を並べたベーシスト、江藤勲氏(一般的には江藤氏の方が有名)もこの手の奏法で有名だが寺川氏の方がよりうねりが激しく、少し前ノリなのが特徴。そして何より魅力的なのがその音色にある。60年代のベースサウンドの要となるフラット弦+ブリッジミュートの王道コンビネーションから生み出されるアタッキーかつ艶やかなトーンは絶品!僕もそのサウンド出したさに遂にはウン十万もする60年代のジャスベを購入してしまった程…(しかし寺川氏がジャスベだった証拠は今の所未確認…誰か教えて!)。近年はどういった活動をされているのかは存じ上げないが、チャンスと可能性があるならば一度お話だけでも伺いたいものである。
レコードに演奏家のクレジットが記載され始めるのは昭和50年以降のこと。よって寺川氏の全盛期である40年代では音色やフレーズでミュージシャンを判断するしかないのだ。これを聴き分けるのは結構至難の技なのだが、例えウラが取れなくてもそう意識して聴き漁るのもまた一つの‘俺の聴き方’である。
☆おそらく寺川正興氏であろう作品リスト☆
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安部律子『愛のきずな』
『誰かの恋人』
プティ・マミ『GIRL FRIEND…BABY DOLL』(アルバム、CD化)