流行にはタイムラグがあると言われていますが、それは例えば洋服や映画など、企画→制作→発表という風に、プロセスにある程度時間を要するものに生じる現象です。それ故、音楽の様にレア(生)な現場ではこのような現象は極稀なはずなのです。しかし今回取り上げた『出発の歌』は、僕なりのタイムラグを物凄く感じていまして、それは、‘2年越しの万博サウンド’ということです。ここで言う万博とはもちろん1970年(昭和45年)に開催された大阪万国博覧会を指します。
『出発の歌』が発表されたのはその2年後の72年のこと。サウンド的な万国ポイントは2番のサビからリフレイン、そしてエンディングに至るあたりで込み上げて来るスペーシーで浮遊感のある編曲。本作の編曲は神田川をはじめ、主に70年代初期からの多くのフォーク系楽曲の編曲で腕を奮っていた木田高介氏によるもの。ジャンルとしてはフォークソングの部類として語られる事の多い『出発の歌』ですが、僕はソフトロックとして捉えていまして、このソフトロック(当時はこのようなジャンルの呼び方はしなかったと言う話も聞きましたが…)こそが万博サウンドの中枢をになっていると言ってもよいでしょう(実際そのコンセプトで括ったオムニバス盤も発売されています)。しかしこれを一概にソフトロック=万博サウンドと括るには少し生温いところがあります。
日本でソフトロック調の曲が量産され始めたのは71年以降のこと。では何故それが万博を連想させるサウンドとして後世に響いているのか…ここからはあくまで僕なりの見解でしかありませんが、万博開催時には音楽という点では垢抜けが乏しかった。なので、あれだけ大規模で華やかな空間とはイメージが違い過ぎる。そこで後世の者が、実際のリアルな印象とは別に、完全に‘こじつけ’でもっておよそイメージに相応しいソフトロックを万博と組み合わせた。それを僕を含めた万博未経験者は万博サウンドだと思い込んでいる。これはどうでしょうか?非常に勝手な意見ですが…しかし完全な間違いではないはずです。いくら万博が日本中にムーブメントを起こしたとはいえ、ミュージシャンのような半社会派(←イメージです!)の人種に限って、こぞって万博を意識するような真似はしないでしょう。あくまで結果としてソフトロックというものがこの時期発生したまでで、そこに偶然あの万博会場の連想させる空気があった。。そういうことなのだろうと僕は思っています。
長々と語っていますが、要するに歌というものは時として、映像以上に空間を伝えることが出来る貴重な歴史資料なのです!
『出発(たびだち)の歌』 上條恒彦(1971年)
作詞 及川恒平 作曲 小室等
乾いた空を見上げているのは 誰だ
お前の目に 焼きついたものは
化石の街
愛の形が 壊れた時に
残されたものは
出発(たびだち)の歌
さあ今 銀河の向こうに飛んでゆけ
乾いた空を見上げているのは 誰だ
お前の耳を 寒がせたものは
時計の森
自由な日々が 失われた時に
残されたものは
出発(たびだち)の歌
さあ今 銀河の向こうに飛んでゆけ
さあ今 銀河の向こうに飛んでゆけ
さあ今 宇宙に さあ今 未来に
さあ今 宇宙に さあ今 未来に
飛んでゆけ
さあ今 宇宙に さあ今 未来に
さあ今 宇宙に さあ今 未来に
飛んでゆけ
こんばんわ!
久々に覗いたらアップしてあるし、
コメントできるようになってたので思わず書いてます。
これからも、ずっと応援してるのでがんばってくださいね(人´∀`*)
投稿情報: ようこ | 2007年3 月31日 (土) 02:58
はじめまして、最近ファンになったものです☆彡私もたまにですが…音楽♪を聞いていると、なぜかしら関係ないかもしれない景色や場面が頭のなかに出てきたりしちゃいます(´`)ちょっと違うかもしれませんね…。
投稿情報: 美麗 | 2007年5 月26日 (土) 00:25
はじめまして。
以前から半田さんのウンチクが好きで
ちょくちょく拝見させてもらってます。
昭和歌謡はホント宝ですよね。
半田さんの切口、感服します。
私もキャンディーズでは「哀愁~」が一番好きで、エンディングの軽さ以外は完璧だと思います。
これからも555ファンの息子ともども応援しています。頑張って下さいネ!
投稿情報: シオタニリセット | 2007年6 月10日 (日) 14:51
555の時 ファンになりました。パソコン持ってないけど ここに来れて嬉しい。テレビ色々見てました。スタジオパーク 面白かったし ハニカミ 良かったです。福井テレビの 旅番組で是非 福井を旅して欲しいです。
投稿情報: 千尋 | 2007年7 月16日 (月) 17:12
はじめまして。
NHKの番組「通・つう」拝見させていただきました。
その若さで…いやいや、若いかどうかは音楽には関係ないですね。歌謡曲に対する思い入れの深さにとてもシンパシーを感じてしまいました。
こちらのブログもこれから楽しみに拝見させていただこうと思います。
影ながら(?)応援させていただきますので、今後も楽しい活動・素敵なうん蓄をよろしくお願い致します。
投稿情報: Suzu | 2007年7 月29日 (日) 00:51
私もNHKの「通」を見てニヤニヤ笑った者です。
いや参りました。お見事!
出来れば、三善英史やペドロ&カプリシャスの「別れの朝」等についてのご意見も拝読したいものです。
お暇があれば、ぜひ!
投稿情報: バカラビッキィチュークログレッピピ | 2007年8 月 1日 (水) 10:50
はじめまして。
『出発(たびだち)の歌』私も大好きです。
大阪万博の、未来への希望と夢広がる建造物と、そこに訪れる人の波が、この曲が見事にマッチしているように感じます。
大阪万博は私、まだ生まれていませんが、60年代〜70年代の曲やファッション、映像が大好きです。
私は沖縄出身なので、海洋博が大好きです。あの頃は、今の沖縄と違って景気も良く活気があったように思います。
私には、『出発(たびだち)の歌』は、海洋博を訪れた、バナナ帽にジーパンの若い観光客を思い出させてくれる曲でもあります。
半田さんのブログ、観点がとても面白く、70年代好きな私には刺激的で勉強になります。ありがとうございます!
投稿情報: 真由美 | 2007年10 月27日 (土) 09:25
去年の欄にコメントするのもなんですが、尾崎紀世彦さんと聞き、思い出したのは、つるのさんです。この前の歌合戦の時、情熱的なつるのさんの歌声をきき、最近はあまり見ない懐かしさを感じました。そう、尾崎紀世彦さん、松崎しげるさんを思い出しました。情熱的な歌声です。
投稿情報: | 2008年12 月15日 (月) 20:47