去年の暮れ、某局のテレビ番組でキャンディーズの特番をやっていたのですが、僕の中で70年代女性アイドルユニットというと、どうしても最初にピンクレディーが挙がりキャンディーズは二番手なんですね。今回もそんな気持ちで番組を観ていましたところ、記憶の片隅に眠っていた名曲に出会いました。そもそもこの曲を僕が初めて聴いたのは小学校六年生の頃で、ちょうどピンクレディーも並行して聴いていた時期の中、ピンクレディーに勝るとも劣らない衝動を僕に与えたことを思い出します。当時の僕はまだ‘理想の歌謡曲’というものを暗中模索の段階で、それに近い作品を知る度に、まるで長年捜し求めていた宝物を見つけたかの如くの感動があったのです。
その一つがこの『哀愁のシンフォニー』。具体的に気に留まったところはまずイントロから。ギターの裏打ちカッティングから♪ダバダァ~♪というコーラスに始まり、弦の駆け上がりがあり、再び♪フッフ~♪というコーラスで落ち着く。これは今聴くと気恥ずかしい感じもしますが、これくらいイントロに本編を期待させる要素を持たせるのもまた◎ですよね(笑)そしてBメロからサビにいく前、再び弦が駆け上がり今度はブラスも一気に参戦して来るあたりなんて、もうおいしすぎます!さらに作詞のなかにし先生の題名のピッタリなこと。歌謡曲に必須である「哀愁」(←これは持論であるが)が曲調だけでなくタイトルにまで盛り込まれていて、全てにおいて理想的!こんな素晴らしい曲をここ数年封印していた自分に少し反省しました。
『哀愁のシンフォニー』 キャンディーズ(1976)
作詞 なかにし礼 作曲 三木たかし
あなたの眼が 私を見て
涙うかべてた その顔がつらい
白い霧が 二人の影を
やさしく つつんでいたわ
私の胸の奥のみずうみにあなたは
涙の石を投げた
愛の深さにおびえるの あヽ
こっちを向いて 涙をふいて
*あなたのこと 愛せるかしら
なんとなくこわい
あなたの眼が 濡れてるのを
みたの 初めてよ 美しいものね
白い霧の はるかな彼方
朝日が 燃えてるみたい
あなたの風のような
きまぐれが悪いの
遊びと恋の区別
まだまだ私 つかないの あヽ
こっちを向いて やさしく抱いて
あなたのこと 愛せるかしら
なんとなくこわく
(*印くりかえし)